2005年12月26日
【写真】インド・ヒマラヤ鉄道・第5話「機関車にて」
機関車は全身これエンジンといった具合に全身を振動させて、重々しくゆっくりと進んでいました。フロントガラスから眺めるヒマラヤ連峰はまた格別でした(写真上)。なんだか夢の中の出来事のようにも思え、吾輩はポケットに突っ込んだ手で自分の太ももをつねってその痛さを確認しました。・・・・どうやら夢ではないようでした。遠い昔、列車の運転手や乗務員に傾倒した頃があり、機関車の運転席に乗ることを憧れるあまり、けっこう現実感のある夢を見ていたものです。そんな夢を見ていた朝、目を開けるといつもの寝床から見慣れているおもしろくもなんともない天井の薄汚れた木目が目に入ってきて、夢の中で突っ走っていた機関車からのすばらしい風景がかき消されるのでした・・・。その度に、なんだやっぱり機関車に乗るなんてことあり得ない・・・と醒めた気分になったものです。それが、何十年か経ってから、ひょんなことでインドの片田舎を走るローカル鉄道で吾輩の長年の夢が叶うとは・・・(涙チョチョ切れ)。
背後の窓から後方を覗くと、後ろに連なる客車全体を見渡すことができました(写真2番目)。機関士は安全確認のために、いつもこうして前方と後方を見渡しているのでしょう。運転台からの視界はまことに良好でした。そしてその視点は、あたかもこの列車全体を統括してるんだぞ!という、ちょっと支配者的な高みから見下ろす優越感があるのでした。吾輩はさっきから背筋を何ものかがゾクゾクと走っているのを感じていました(涙チョチョ切れ)。
プラン氏の前には、吾輩には訳がわからない複雑そうな計器が並んでいました(写真3番目)。日本だったら鉄道博物館に並びそうなくらい年季が入って古びていました。これらの計器は雨の日も風の日も暑い日も寒い日も、長年プラン氏のような機関士に大切な情報を送り続けてきたのでしょう。そんな計器も今朝は朝日に映えています。カメラをプラン氏に向けると、運転中のちょっと緊張した面持ちで「どうだ!」と言わんばかりの表情をしました(写真下)。プラン氏もやっぱり朝日に映えているのでした。列車はプラン氏の制御で、インドの田舎の田園風景の中を順調にコトコトと走り続けていました。




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Posted by Rich at 08:35│Comments(0)
│インド
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